プロセスマイニングは業務改善におけるカーナビ

プロセスマイニングは、業務改善のカーナビと言われている。知っているでしょうか?その理由と必要性をお伝えしたい。

 

苦労して考えて作り上げた理想的なワークフローも実際に始まるとなかなか上手くいかないことも多いだろう。その時に、また新しいワークフローを考えるのは現実的ではない。しかし、カーナビのように、日々の状況に応じてその時の最善の方法を教えてくれるやり方なら可能だ。それがプロセスマイニングなのだ。日々の業務を可視化し、理想の状態に近づくために、何をすればいいかを継続的に教えてくれる。どこが日々の業務でボトルネックになっているのか、何を今日中に終わらせるとKPIの達成に近づくのか、そもそも何のためにこの作業をやらなければいけないのかなどを色々な立場の人に教えてくれる。しかも、準備はいらない。データを勝手に可視化して教えてくれるである。業務改善のカーナビを使いこなして、理想の状態に進んで行こうじゃありませんか。

フリクションレスな世界を目指す

プロセスマイニングという学問を使って実現できる事の1つに、フリクションレスな世界がある。

フリクションとは、摩擦•軋轢という意味でイライラするような活動を表す。つまり、フリクションレスな世界とは、イライラすることのない世界である。

例えば、Amazonを想像してみてほしい。欲しいものを思い浮かべてから、数回のクリックをするだけで次の日には商品が家に届く。この事を実現するためには、在庫管理、サプライチェーン、受注システム、ウェブのユーザーインターフェイスなど様々な事が上手く機能していなければならない。

しかし、実社会のサービスでは、待ち時間が長ったり、記入が複雑であったり、在庫切れがあったり、システム間でトラブルが起きたり、、、などなど様々な問題がおこる事もある。その事によって、サービスを提供している側も受ける側も思い通りのフローから外れた逸脱がおこり、イライラを生んでしまうことがある。

このイライラの起きているボトルネックを突き止めて、理想的な状態と今の現状がどのくらい違うのかという事を透明性高く、リアルタイムでみれるのがプロセスマイニングという技術である。

そうする事で、全ての人々の様々な活動が思い通りにいき、毎日楽しくなる。

プロセスマイニングの位置づけ②

プロセスマイニングは、様々な考え方と深い関わりがあるが、何が違うのか、前回に引き続き見ていく。

 

プロセスマイニングとBPRを比較する。BPRは、マネジメント手法であり、根本的•徹底的•飛躍的•プロセスの4つのキーワードで特徴づけられる。根本的とは、ビジネスプロセスを再活性化するために「なぜこれをするのか、なぜこのやり方なのか」という基本的な質問を問い続ける意味がある。徹底的とは、再構築したプロセスが現状の仕事の進め方と完全に決別したものでなければならないことを意味する。既存のプロセスから、少しずつ改善するのではなく全く新しいものに生まれ変わらせることを意図したのがBPRだからである。飛躍的とは、表面的な変革ではないという意味が込められている。最後のプロセスとあるように、BPRもプロセスマイニングと同じくプロセス中心であり、プロセスに焦点をあてる。しかし、プロセスマイニングと大きく違う点がある。BPRは、データ駆動型ではないということだ。BPRは、データを詳細に分析することなく、「既存の枠にとらわれない考え方」を強く推奨している。これに対しプロセスマイニングは、問題の特定を支援し、誰でも改善活動を定義できるように既存のイベントデータからプロセスを決める。

 

プロセスマイニングとBIを比較する。プロセスマイニングをBIの一部に位置付けることもできる。それは、BIには、明確な定義が存在せず、意思決定に役立つ実用的な情報の提供を意図した手法全般を含んだ多義的な用語だからだ。しかし、BIツールは、それほど「インテリジェント」な機能はなく、クエリの作成や報告とダッシュボードなど簡単な可視化をするツールに過ぎない事が多い。それに比べて、プロセスマイニングは、過去のデータの分析だけでなく、オペレーショナルサポート、すなわちオンライン環境で予測や提言を行う事ができる。つまり、持続的にプロセスを強化し続けるのを助けてくれるのである。

 

このように、様々な学問とプロセスマイニングを比べてきた。プロセスマイニングは、実際のデータからプロセスの改善を継続的に支援することができる。理想的な状況と現場で起きている様々な問題の原因を他のツールとは、比べものにならないくらい圧倒的な透明性で支援することができる。

プロセスマイニングの位置づけ①

今回は、プロセスマイニングがなぜ最近注目されているのか。他の学問と比較して、プロセスマイニングの位置付けを確認したい。

 プロセスマイニングの対象範囲は極めて広いです。そのため、プロセスマイニングの目的が他のアプローチ、方法論、原則、手法、ツール、パラダイムと重複することは避けられません。実際に見ていきましょう。

 BPMは、当初プロセスの設定と実行に重きを置いていました。プロセスモデルの作成は設計または再設計フェーズに主要な役割を果たし、設定/実装フェーズに直接的に寄与します。しかし、BPMのアプローチはモデル駆動型であり、データに隠されているエビデンスを考慮に入れていませんでした。確かに、最近は、よりデータ駆動的なBPMのライフサイクルの一部としてプロセスマイニングのテクニックが使用されます。ただし、プロセスマイニング用途はBPMだけではありません。イベントが記録できるプロセスは、なんであれプロセスマイニングの対象になり得るからです。

 データマイニングは、データの持ち主にとって理解可能かつ有能な斬新な手法を駆使して、多くの場合、大容量のデータセットを分析し、データ同士の思いも寄らない関係を見つけ出し、それを簡単に示す事を意図したテクニックです。データマイニングもプロセスマイニング同様、データ駆動型です。違うのはほとんどの場合、データマイニングテクニックがプロセス指向型ではない事です。

 リーンシックスシグマは、リーン生産方式とシックシグマを組み合わせた経営手法です。系統的には無駄を省いてパフォーマンスを改善することに重きを置いています。リーン生産方式の重点は、付加価値を生まない行動を無くそうという点にあります、一方、シックスシグマは、付加価値のある行動の質を向上させる事に焦点をおいています。リーンシックスシグマでは、この2つの方向性がお互いに補いあっているのです。プロセスマイニングはリーンシックスシグマの技法の有効性を高めるツールになり得ます。イベントログが記録してあれば、不要な待機時間な手直しを可視化できるからです。

 次回は、BPR、BIと引き続き比較していきます。

 

参考文献『process mining data science in action』

プロセスマイニングとは?

 前回より詳しく、プロセスマイニングについて説明する。そもそもなぜ、プロセスマイニングなのか?

 それはデジタルトランスフォーメーションとは何なのか、何をやるべきなのか、わかる人は少ない。色々な情報が絡み、色々な方法があり、混沌としているからだ。まずは業務を整理する事が大事である。それができるのがプロセスマイニングなのだ。

 これまでは、業務のあるべきフローを設計するための「プロセスサイエンス」と、大量のデータの中から意味のあるものを発見するための「データサイエンス」は、"別物"として存在していた。

 プロセスマイニングは、プロセスサイエンスとデータサイエンスの融合といえる。特定の業務プロセス一つとっても、必ずしもマニュアルに書いてある通りの処理で行われてることは少なく、数多くのパターンや例外処理が存在するのが通例だ。膨大な業務データから、例外処理のパターンを識別しその発生原因を特定することにより、今まで気づかなかった課題の抽出を発見し解決へと導くのがプロセスマイニングである。『celonis プロセスマイニング最善線』より

 では、プロセスマイニングと今までも多くの研究がなされてるBPMデータマイニング、リーンシックスシグマ、BPR、BI、CEP、GRCなどと何が違うのか、何がすごいのかを次回書きたいと思う。

プロセスマイニング〜大学で最も衝撃を受けた学問〜

プロセスマイニングという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 現在、大学生の自分は、データサイエンスプログラムというものを履修している。そこで、企業戦略論、様々なデジタルトランスフォーメーションの取り組み、IOT技術、BIツール、RPA化について、データサイエンティストについてなどなど、多くのことを学んだ。

その中で最も衝撃を受けた学問がある。それはプロセスマイニングという学問だ。皆さんはご存知であろうか。簡潔いえばプロセスマイニングは、イベントログを使って、ビジネスプロセスを可視化して、効率化を測る学問である。

 現在のデジタルトランスフォーメーションが進む世の中は、ビジネスプロセスが、複雑化・高度化している。よって、なかなか全てを把握できない中で、RPAやその他のシステムを使って業務を効率化しようとしている。しかし、それでは、その取り組みによって効果があったのか、全ての人たちにとって良い変化をもたらしているのかを検証することは難しい。また、想定と違っていた時にリアルタイムで軌道修正することも難しい。

 では、どうすればいいのか。全てのビジネスプロセスを常に全て可視化して考えればいいのである。そう、常に全てである。そうすれば、より的を得た議論が行え、意思決定が遅れることも少ないし、間違った意思決定をしたとしても、すぐに気付くことができる。

 これからは変化の激しい時代である。そんな時代に恐れることは、間違った意思決定をすることではなく、複雑化しすぎて意思決定をくだせないことである。複雑化した業務をプロセスマイニングで可視化する事で、全ての人が働きやすい環境にしていけると強く思う。